見込み顧客や既存顧客に対して電話やメールなどを利用しておこなう営業手法として、インサイドセールスへの注目が高まっています。ただし導入する際には、自社にマッチした適切なKPI設定が必要不可欠です。
- インサイドセールスに設定する一般的なKPI項目を知りたい
- KPI未達の場合に取るべきアクションについて知りたい
- インサイドセールスのKPI管理方法について知りたい
といった方に向けて、インサイドセールスのKPI設定方法から成功のコツまで詳しく解説します。
💡 この記事でわかること
- 1. インサイドセールスの手法
- 1.1 反響型営業(SDR)
- 1.2 新規開拓型営業(BDR)
- 2. インサイドセールスのKPI項目
- 2.1 メール開封数
- 2.2 架電数・コネクト率
- 2.3 商談化数・商談化率
- 2.4 受注数・受注率
- 2.5 受注額
- 3. KPI未達の場合のアクション
- 観点 1|過去の成功事例との比較
- 観点 2|顧客との接続数の最大化
- 観点 3|ターゲットリストの適切さ
- 4. インサイドセールスのKPI管理
- 4.1 エクセル・スプレッドシートによる管理方法
- 4.2 SFA(Sales Force Automation)による管理方法
- 4.3 CRM(Customer Relationship Management)による管理方法
- まとめ
1. インサイドセールスの手法
インサイドセールスの手法には、反響型営業といわれる「SDR」と新規開拓型営業の「BDR」があります。 それぞれに特徴があり、業種や商品、サービスなどの対象によって最適な手法が異なります。 まずは、それぞれについての理解を深め、自社に最適な選択をしましょう。
反響型営業(SDR) | 新規開拓型営業(BDR) | |
営業手法 | インバウンド型
※日本で主流 | アウトバウンド型 |
活動目的 | リードとの関係性を構築し、ニーズを探ることで理想的な提案をすることを目指す | 自社のターゲットの中でこれまで接点のなかったターゲットにアプローチをおこなって新規リード顧客獲得を目指す |
活動内容 | メディアや広告などを通じて自社に興味を持ったリードに対してメールや電話などでさらに深い接点を作り、ニーズを探る | メールや電話を通して自社が取引したい企業へ直接アプローチする |
1.1 反響型営業(SDR)
SDR(sales development representative)は「反響型営業」と呼ばれる手法です。 マーケティング部門からの見込み顧客にアプローチし、商談化してフィールドセールスへ引き継ぐというのが一般的な流れです。 具体的なターゲットは、インターネットやテレビなどのメディア広告、ダイレクトメールやチラシなどを通じて興味を持ち、反応があった見込み顧客です。 見込み顧客が積極的に興味を示している状態のため、成果につながりやすいというメリットがあります。ただし、購入意欲が下がる前にアプローチをしないと意味がないため、全体の流れにスピードが必要です。 また、購買意欲の波を可視化することで、チャンスを逃さない営業活動につながります。 業務プロセスの構築や見込み顧客の管理など、営業体制の整備をしっかりとおこないましょう。
1.2 新規開拓型営業(BDR)
BDR(business development representative)は、「新規開拓型」といわれる営業手法です。 SDRと大きく異なるのは、「アウトバウンド型のセールス」という点です。 これまで接点のなかったターゲットにアプローチをおこない、新規の見込み顧客獲得を目指します。 具体的には、担当者に名指しで送るダイレクトメールや電話営業など、関係者の情報収集をしながらアプローチする手法です。見込み顧客を積極的に選べるため、的を絞った営業活動が可能。効率的で無駄を抑えられるのが特徴です。また、受注の際には大きな成果を期待できるのもメリットのひとつです。 一方で、積極的に興味を示しているSDRとは異なり、購買意欲や成果の獲得という点では、ハードルが高いといえるでしょう。
2. インサイドセールスのKPI項目
インサイドセールスの最終目標である新規受注や既存顧客の継続、アップセルを達成するためには、中間目標のKPIが重要です。 フェーズ別に適したKPIを設定することは、成果へつながりやすくなるからです。 ここでは、一般的なKPI項目を5つ紹介します。自社にあったKPI項目設定の参考にしてください。
- メール開封数
- 架電数・コネクト率(担当者と接続した割合)
- 商談化数・商談化率
- 受注数・受注率
- 受注額
2.1 メール開封数
送信したメールが、どれだけの顧客に開封されたかを示す数値です。 場合によっては、メールの開封数ではなく、開封率をKPIとすることもあります。 メールマガジンの配信は、顧客育成のツールとして定着しています。その開封数を知ることは、マーケティングを評価する上で重要な指標となります。 開封数が多ければ多いほど、見込み顧客の興味は高いといえるからです。 また、件名や配信時間など、さまざまケースの開封数を知ることで、見込み顧客の傾向を把握し、効果的なアプローチへつなげることができます。 一方で、開封数だけでは、顧客が実際に商品やサービスに興味を持っているかどうかまではわかりません。 他のKPIと合わせて分析することで、より正確なデータを得ることができます。
2.2 架電数・コネクト率
架電数・コネクト率(担当者と接続した割合)は、新規開拓型営業の場合に設定されることが多くあります。新しい見込み顧客を獲得するためには、多くのアプローチが必要だからです。 架電数・コネクト率に具体的な目標を設定することで、成果を狙います。 また、営業担当者の活動量や品質を知ることができるため、経験の浅い担当者に設定する傾向もあります。 架電数ではアウトバウンドコールの量を、一方、コネクト率では成功率を知ることができ、質の高い営業活動が行われているかを判断することができます。 架電数の増加はアポイントメントや成約のチャンスが増えていることを意味し、また、コネクト率の増加は、効率的で質の高い営業活動の表れです。 架電数とコネクト率は、インサイドセールスの効果を測るうえで重要なKPI項目となります。
2.3 商談化数・商談化率
商談化数・商談化率は、インサイドセールスのKPI項目の中でも、最も重要なもののひとつです。 インサイドセールスの最終目標である、商談化の達成率を知ることができるからです。 見込み顧客との関係構築に成功し、商談段階まで進んだ割合を数値化することで、営業活動の効果や課題を浮き彫りにします。 これにより、効果的な営業活動の共有や課題の改善など、インサイドセールスのプロセス全体を最適化することができます。 商談化数・商談化率は、インサイドセールスの最終目的に直結しているため、未達成の場合は早急な改善が必要です。 具体的な対策としては、ターゲットの選定、コンタクトの質、アプローチ方法の見直しなどが挙げられます。 また、商談化数・商談化率を追求することは、営業担当者のパフォーマンスを向上させ、目標達成へもつながります。効果的なインサイドセールス戦略のため、重視すべき項目です。
2.4 受注数・受注率
受注数・受注率は、営業効率を評価する指標となるため、どちらかというとフィールドセールスの目標という印象ではないでしょうか。 しかし、受注数・受注率をKPIとして設定し、目標達成を目指すことは、商談の質を高めることにつながるのです。 なぜなら、受注数・受注率の向上には、見込み顧客との関係構築や、商談のチャンスを増やすことが欠かせないからです。 顧客のニーズや課題を把握し、細やかな対応や適切な提案をしていかなければ、成果をあげることはできません。 適切なKPIを設定し、つねに受注数・受注率に注目しましょう。営業プロセスをていねいに修正し、最適化することで、目標達成を期待することができます。
2.5 受注額
受注額のKPIを設定することも、インサイドセールスの効果を測るうえで有効です。 顧客のニーズを正確に把握し、十分な情報収集ができていれば、受注額に反映されます。 目標の受注額を設定し、その達成率を管理することで、質の高い商談が行われているかどうかが明確になります。 また、個々の営業担当者のほか、チーム全体、プロジェクト全体など、それぞれのパフォーマンスにKPIを設定し、分析することも重要です。 売上や利益に直結するため、目標達成に向けて確実に取り組まなければいけないKPI項目です。
3. KPI未達の場合のアクション
KPIと達成状況のギャップを明確にし、常に活動の見直しをおこなうことを重要です。以下の観点から、定期的にデータを分析し、インサイドセールスの活動の改善をおこないましょう。
- 過去の成功事例との比較
- 顧客との接続数の最大化
- ターゲットリストの適切さ
観点 1|過去の成功事例との比較
過去の成功事例と現在のデータと比較することが有効です。 商談、受注への確率を成功例と比較することで、問題点や課題を知ることができるからです。 例えば、見込み顧客との接触ができているにも関らず受注率が低い場合は、最適なアプローチができていない可能性があります。 購買意欲が高まっていない時は、資料やメールマガジンで情報を提供し様子をうかがう。商談が思うように進まない場合はトークスキルやスクリプトを見直すなど、状況に応じた改善策をおこなうことが必要です。 最適なアプローチをしているかどうかを把握し、スピード感をもって改善をおこなうことが重要だといえます。
観点 2|顧客との接続数の最大化
電話やメール、Web広告など、あらゆるメディアを通した見込み顧客との接続数を指標として意識し、最大化することが重要です。 見込み顧客との接続数を最大化することで、サービスや商品の認知度を高め、購買意欲につなげることができるからです。 接続数が低い場合は、アプローチの方法やタイミングが適切かどうかを検証しましょう。 具体的には、時間ごとの架電数や接続率データを作成し、曜日ごとや一定期間の検証をするのも方法のひとつです。 また、見込み顧客からのリアクションに対し、即座に対応できる体制が整っていない場合は、業務フローの見直しが必須です。せっかくのチャンスを逃さないようにしましょう。 顧客との接続数は、インサイドセールスにおいてとても重要な数値です。常にチェックをし、最大化を目指してください。
観点 3|ターゲットリストの適切さ
さまざまなKPIの達成が順調でも、受注率が低い場合があります。 その理由はいくつか考えられますが、まずはターゲット設定を見直すことが重要です。ターゲット設定に問題があれば、質の高いインサイドセールスであっても商談を獲得することが難しいと言えます。現在のターゲットと成功事例のターゲットを比較し、違いがないか確認しましょう。提供内容が顧客のニーズとマッチしていない場合は、ターゲットの再設定が急務です。 受注率が低い原因を特定し、さまざまな角度から見直しをおこなうことが重要です。
4. インサイドセールスのKPI管理
インサイドセールスのKPIは、つねにその状況を把握し、管理しなければいけません。 目標とその達成状況を知ることが、成果の獲得につながるからです。 また、組織全体のパフォーマンスを向上させるために、マーケティング部門やフィールドセールス部門とのKPI共有も重要です。
- エクセル・スプレッドシートによる管理方法
- SFA(Sales Force Automation)による管理方法
- CRM(Customer Relationship Management)による管理方法
4.1 エクセル・スプレッドシートによる管理方法
エクセル・スプレッドシートは無料で使用できるため、インサイドセールス部門を立ち上げる際におすすめです。 オンライン上で利用でき、他部署との共有も容易におこなうことができます。 一方で、詳細なデータ管理には向いていないため、大まかな管理で問題ない場合に使用するとよいでしょう。 また、便利なテンプレートも用意されています。自社に合ったテンプレートを探してみるのもおすすめです。
4.2 SFA(Sales Force Automation)による管理方法
SFA(Sales Force Automation)は、商談開始から受注までのプロセスを管理できるツールです。 営業活動の支援に特化したツールで、アプローチ数や商談数などの営業活動を分析することができます。営業の重複や漏れも防ぐことができ、より効率的な活動が期待できます。 また、KPI関連の機能だけではなく、見積作成や事務処理支援など、便利な機能も備えています。 KPIのツールといえばSFAといわれるほど、定番のツールです。
4.3 CRM(Customer Relationship Management)による管理方法
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客の属性や行動を一括で管理でき、営業活動だけでなく、マーケティング部門などさまざまな業務に活用できるツールです。 顧客の行動を管理することで、その情報をもとにしたアクションが可能となり、スムーズな商談につながります。具体的には、「担当者によって言っていることが違う」といった問題の解決や、顧客のニーズに合わせたアプローチをすることに役立ちます。 営業活動にはメリットの多いツールといえるでしょう。
まとめ
インサイドセールスの成果を引き出すためには、KPIの設定が重要です。 さらに、設定したKPIを管理し、定期的に見直すことも成果を出すためには必要不可欠です。 今回解説したKPI管理を参考に、インサイドセールスの目標達成に取り組んでください。
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