外国人材の採用は、人材確保だけでなく、企業の多様性向上やグローバル化にもつながります。しかし、「コストがかかりそう」「制度が難しい」と感じている企業も少なくありません。実は、外国人採用を支援するための公的な助成金や支援制度が各種用意されています。
- 外国人を採用する際に使える助成金について知りたい
- 申請の流れや注意点は?
- 相談できる支援サービスってあるの?
本記事では、はじめて外国人採用に取り組む企業が活用しやすい国・自治体・民間の支援制度を、わかりやすく丁寧に解説します。ぜひ、今回の記事を参考にしてみてください。
💡 この記事でわかること
- 1. 助成金・補助金の全体像と活用メリット
- 1.1 人材開発支援助成金
- 1.2 特定求職者雇用開発助成金
- 1.3 助成金活用のメリット
- 2. 外国人材に特化した国の支援制度
- 2.1 登録支援機関制度(特定技能)
- 2.2 日本語教育支援(文化庁)
- 3. 自治体による外国人雇用・定着支援
- 3.1 東京都:多文化共生推進事業
- 3.2 地方自治体の独自支援(例:岐阜県、広島県、群馬県など)
- 4. 民間サービスが提供する支援パッケージ
- 4.1 採用から定着まで一貫サポート
- 5. 助成金を活用する際の注意点
- 5.1 申請は“事前”が原則
- 5.2 対象者の条件に注意
- 5.3 証拠書類の整備が必要
- 5.4 書類準備には時間がかかる
- 5.5 申請の流れ(基本的なフロー)
- 参考|無料でシンプルな給与前払いサービス「パルケタイム」
- 6. まとめ
1. 助成金・補助金の全体像と活用メリット
外国人採用にも使える一般的な雇用助成金と活用のメリットについて紹介します。
1.1 人材開発支援助成金
外国人労働者に対して職業訓練(OJTやOFF-JT)を実施する場合、訓練中の賃金や外部講師費用の一部が助成されます。日本語教育やマナー研修も対象になる場合があります。
- 対象:中小企業が正社員に対して職業訓練を行う場合など
- 助成額:1人あたり数万円〜数十万円(訓練内容・時間に応じて異なる)
- ポイント:日本語教育も訓練に含まれる場合があるため、活用範囲が広い
参考|厚生労働省_人材開発支援助成金
1.2 特定求職者雇用開発助成金
永住者や定住者など、就労制限のない在留資格を持つ外国人を新たに雇用した場合に対象となる助成制度です。
- 対象者:定住者、永住者、日本人の配偶者等の在留資格を持つ人
- 助成額:中小企業の場合、最大60万円(大企業は最大50万円)
- 雇用形態:原則、無期雇用または一定期間以上の有期雇用契約
参考|厚生労働省_特定求職者雇用開発助成金
1.3 助成金活用のメリット
- 採用コストの軽減:教育・研修にかかる費用を抑えられる
- 社内体制の整備促進:制度利用の過程で社内の受け入れ体制が強化される
- 継続雇用・定着率の向上:研修を通じて外国人材の理解と信頼感を醸成できる
2. 外国人材に特化した国の支援制度
国による支援制度は、制度面での整備や法的支援、日本語教育など、幅広い領域に及びます。ここでは特に企業が活用しやすい2つの制度について紹介します。
2.1 登録支援機関制度(特定技能)
「特定技能1号」の在留資格を持つ外国人を採用する場合、企業には入国後の生活支援や職場支援を行う義務があります。その支援業務を代行できるのが「登録支援機関」です。
- 支援内容:住居の確保支援、生活オリエンテーション、日本語学習支援、相談対応など
- 委託する場合:登録支援機関への委託が可能(委託料は月数万円程度が相場)
- 補助情報:一部の自治体では委託費用を補助する制度あり
参考|出入国在留管理庁_登録支援機関
2.2 日本語教育支援(文化庁)
外国人社員の円滑な就労・定着を目的に、文化庁が自治体や企業と連携して日本語教育プログラムを提供しています。
- 形式:地域の日本語教室との連携、eラーニング教材提供など
- 対象:外国人材本人、あるいは外国人材を受け入れる企業
- 補助:受講費無料、または一部補助制度あり(地域によって異なる)
参考|文化庁_地域日本語教育実践プログラム
3. 自治体による外国人雇用・定着支援
国の制度とあわせて、地方自治体による独自の支援制度も充実しています。地域に根差したサポートは、外国人材の定着や職場環境の改善に大きく貢献します。 「○○県 外国人材 支援制度」などで検索すると地域特化の制度を見つけやすくなります。
3.1 東京都:多文化共生推進事業
- 対象:外国人材を雇用し、受け入れ環境整備に取り組む都内中小企業
- 内容:日本語研修、外国人向けマナー教育、就業ルールの翻訳などの費用を助成
- 上限:1事業あたり数十万円まで(年ごとに変動)
3.2 地方自治体の独自支援(例:岐阜県、広島県、群馬県など)
- 岐阜県:「外国人材受け入れ相談窓口」を県内各地に設置
- 広島県:「ひろしま国際プラザ」にて生活支援情報・日本語教室の案内
- 群馬県:企業向け「外国人雇用ガイドライン」の提供、日本語講師派遣
4. 民間サービスが提供する支援パッケージ
公的な支援制度とあわせて、民間企業によるサポートサービスも数多く存在します。採用から定着までを一貫して支援してくれる民間サービスを活用することで、よりスムーズな外国人雇用が実現します。
4.1 採用から定着まで一貫サポート
以下は、外国人採用に関する支援を一貫して行っている代表的な民間サービスの比較です。 民間支援は公的制度と併用できる場合も多く、相談することで適切な補助提案を受けられることもあります。
サービス名(企業名) | 主な対象 | サポート内容 | 特徴 | URL |
Connect Job(フォースバレー・コンシェルジュ株式会社) | 留学生、新卒外国人、特定技能人材など | 求人掲載、マッチング、ビザ申請、生活支援、日本語教育 | 多言語対応でグローバル採用に強い | |
Kosaido Global(株式会社広済堂ビジネスサポート) | 技能実習・特定技能のアジア人材 | 現地面接、渡日前教育、職場定着支援 | 教育体制が整っており、長期雇用に対応 | |
グローアップ(株式会社グローアップ) | 技能実習・定住者など幅広い層 | 外国人紹介、研修カリキュラム、ビザ支援、生活サポート | 教育重視で定着率向上を支援 |
5. 助成金を活用する際の注意点
助成金を活用するうえでは、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。
5.1 申請は“事前”が原則
多くの助成金は、採用や研修を開始する前に申請しておかないと対象外になります。つまり、「採用が決まってから」では間に合わず、制度の情報収集と準備は計画的に行う必要があります。特に締切や審査のタイミングもあるため、早めの行動が大切です。
5.2 対象者の条件に注意
助成金の多くは、雇用する外国人の在留資格や雇用形態に一定の条件を設けています。たとえば、「定住者」や「永住者」など特定の在留資格に限定されていたり、フルタイム雇用や一定以上の契約期間が必要となる場合があります。制度ごとに異なる条件を事前に確認し、自社の採用計画と照らし合わせることが重要です。
5.3 証拠書類の整備が必要
助成金の申請や実績報告には、しっかりとした証拠書類が求められます。たとえば、雇用契約書、出勤簿、研修計画書、研修実施記録、費用に関する領収書などです。これらを事前に整えておくことで、スムーズな申請と審査通過ができるようになります。
5.4 書類準備には時間がかかる
助成金の申請書類の準備や記入は意外と時間を要します。不備があると申請が差し戻されてしまうこともあるため、時間に余裕を持って取り組むことが肝心です。また、慣れない手続きに不安がある場合は、社労士や行政書士など専門家のサポートを受けるのも有効な手段です。
5.5 申請の流れ(基本的なフロー)
- 対象助成金の選定:自社の状況や採用予定の外国人材に適した制度を選びます。
- 計画書の作成・申請:実施予定の雇用・研修内容を記載した計画書を提出します。
- 審査・交付決定:行政機関や助成金事務局による審査を経て、交付決定通知を受け取ります。
- 事業実施(採用・研修等):助成対象期間中に計画通りの内容を実施します。
- 実績報告の提出:研修実施状況や経費明細、証拠書類を添えて報告書を提出します。
- 助成金の支給:審査が通れば、所定の金額が支給されます。
困ったときは、各都道府県の労働局、商工会議所、外国人材支援センター、または行政書士への相談がおすすめです。
参考|無料でシンプルな給与前払いサービス「パルケタイム」
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6. まとめ
外国人採用は、採用コストや制度手続きの面でハードルが高いと感じることもありますが、助成金や支援制度を活用すれば大きな後押しとなります。採用・教育・定着のそれぞれの段階に合わせて制度を選べば、初めての採用でも安心して進められます。 特に中小企業では、こうした制度の有無で外国人材の活用に大きな差が出ます。まずは自社が活用できる制度を調べ、支援機関への相談からスタートしてみましょう。
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