給与の支払い方法が多様化する中、前払いサービスやデジタル給与払いの導入が広がっています。2025年9月、エーピーシーズ株式会社の「速払いサービス」と、PayPay株式会社が提供する「PayPay給与受取」サービスがシステム間連携を開始しました。この連携により、企業は従業員への給与支払い手段をさらに拡充でき、従業員にとっても利便性の高い選択肢が増えることになります。
💡 この記事でわかること
- 1. 今回の連携のポイント
- 1.1 「速払いサービス」とは
- 1.2 「PayPay給与受取」とは
- 1.3 システム連携によるメリット
- 2. 法令面での背景と注意点
- 2.1 「給与デジタル払い」の制度背景
- 2.2 従業員の同意が必須
- 3. 企業担当者にとっての実務的な意義
- 3.1 採用・定着への効果
- 3.2 コスト構造の整理
- 3.3 運用上の注意点
- 4. 導入時に確認すべきチェックリスト
- 4.1 法令・規制対応
- 4.2 システム・運用面
- 4.3 コスト・負担
- 4.4 従業員への周知
- 5. 今後の展望
- 6. まとめ
1. 今回の連携のポイント
1.1 「速払いサービス」とは
エーピーシーズの「速払いサービス」は、企業が従業員に対して給与日前に働いた分の給与を支払える仕組みです。日払い・前払いニーズに対応し、採用力強化や定着率向上につながる福利厚生として導入企業が増えています。
1.2 「PayPay給与受取」とは
「PayPay給与受取」は、給与を銀行口座を介さずに従業員のPayPayアカウントへ直接振り込めるサービスです。給与の受け取りからそのままキャッシュレス決済や送金に使えるため、若年層を中心に注目を集めています。
1.3 システム連携によるメリット
今回の連携によって、「速払いサービス」で申請された給与を、従業員は銀行口座だけでなく、PayPayアカウントでも受け取れるようになります。これにより、
- 従業員は利用シーンに合わせて受け取り方を選べる
- 企業は従業員満足度を高めつつ、システム対応の負担を軽減できる
といったメリットが生まれます。
2. 法令面での背景と注意点
2.1 「給与デジタル払い」の制度背景
2023年4月、厚生労働省により給与のデジタル払いが正式に解禁されました。これにより、銀行口座振込と同等の「法定給与支払い方法」として、厚労省が指定する資金移動業者を通じて給与を支払うことが可能になっています。
2.2 従業員の同意が必須
ただし、利用対象は従業員本人の同意が前提です。企業が一方的にPayPayなどのデジタル払いを強制することはできず、あくまで「選択肢のひとつ」として提供する必要があります。
3. 企業担当者にとっての実務的な意義
3.1 採用・定着への効果
飲食業・物流業・小売業など人材不足が深刻な業界では、「日払い」「即時受け取り」は求人の大きな魅力ポイントです。PayPayを通じて給与が受け取れることで、求職者への訴求力はさらに高まります。
3.2 コスト構造の整理
速払いサービスの多くは、従業員が振込手数料を負担するケースが一般的です。ただし、企業側が「福利厚生」として手数料を一部または全額補助する導入例もあります。導入前に「企業負担か従業員負担か」を明確にし、採用効果や従業員満足度とのバランスを検討することが重要です。
3.3 運用上の注意点
- 勤怠データと給与計算の整合性確認は企業の責任です。前払いした金額と最終的な給与額に差異が生じた場合は、翌月給与からの相殺など、調整ルールを定めておく必要があります。
- 労基法上「未払賃金トラブルの防止」が最優先であり、勤怠入力の遅れや誤入力が原因となるエラーを防ぐ運用体制が欠かせません。
4. 導入時に確認すべきチェックリスト
4.1 法令・規制対応
- 厚労省の指定事業者であるか(PayPayは正式指定済み)
- 労使協定や就業規則の改訂が必要か
- 従業員の同意取得方法をどう設計するか
4.2 システム・運用面
- 自社の勤怠管理・給与計算システムと連携できるか
- APIによる自動化が可能か、手作業が必要か
- 前払いと本給与の差額調整ルールが定義されているか
4.3 コスト・負担
- 振込手数料は従業員負担か、企業が補助するのか
- 採用効果や離職防止効果を試算した上で費用対効果を見込めるか
4.4 従業員への周知
- デジタル払いを希望しない従業員の選択肢も保証できるか
- 銀行口座振込との違いをわかりやすく説明できるか
- サポート窓口やトラブル対応体制を整備しているか
5. 今後の展望
今回のシステム連携は、給与デジタル化が本格的に普及する流れの一部です。厚労省の指定事業者には、PayPayのほかにも楽天銀行系サービスや「d払い」など複数のウォレットが登録済みであり、今後はさらに選択肢が広がると見込まれます。 企業にとっては、複数の受け取り手段に対応できる柔軟な体制を整えることが重要になります。加えて、セキュリティや法令順守、従業員からの同意取得プロセスを確実に設計することが、競争力を高めるための大きなポイントになるでしょう。
6. まとめ
エーピーシーズの「速払いサービス」と「PayPay給与受取」のシステム連携は、企業と従業員双方にメリットをもたらす仕組みです。
- 採用力強化や従業員満足度の向上
- システム運用の効率化
- 給与デジタル化への対応強化
こうした効果を見込める一方で、法令遵守・コスト負担・勤怠管理との整合性といった実務課題に配慮することが不可欠です。 給与支払いの多様化は、これからの人材確保・働き方改革において欠かせない要素となっていくでしょう。
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