2026年4月、小規模企業の労務管理に直結する法改正が施行されます。最大の変更点は「週44時間特例(小規模企業特例)」の段階的廃止です。 導入コストが増える一方で、適切な労務管理はワーカーの信頼に直結し、スポットワーク・パートの定着率向上にもつながります。まずは自社が該当するかどうか、一歩ずつ確認していきましょう。
💡 この記事でわかること
- 変更点①:長時間労働に対する割増賃金と「月60時間の壁」
- 中小企業における5割増賃金の定着と実務
- 労働時間管理の再徹底
- 変更点②:小規模企業特例(週44時間特例)の段階的廃止
- 特例対象業種と廃止スケジュール
- 主な対象業種
- 週40時間体制への切り替えにおける課題
- 変更点③:時間外労働労使協定(36協定)の整備
- 既存の36協定と変形労働時間制の見直し
- 対応ポイント
- 企業が今すぐ取り組むべき対応
- 自社の当てはまりを先に確認する
- パート・スポットワーカーへの影響
- 企業の対応チェックリスト
- よくある質問(FAQ)
- Q1. 月60時間超の5割増賃金はいつから適用されましたか?
- Q2. パート・アルバイトにも割増賃金の変更が影響しますか?
- Q3. 小規模企業特例が廃止されると、従業員の所定労働時間は自動的に週40時間に変わりますか?
- Q4. 36協定の見直しは必ず必要ですか?
- Q5. スポットワークを活用することで、改正の影響を緩和できますか?
- Q6. 2028年4月の廃止まで特例を使い続けることはできますか?
- まとめ
- 関連サービス
- hibarai(ヒバライ)|労務管理と連動した給与日払いサービス
- hibaraiの主な特徴
- 現場で選ばれている理由
変更点①:長時間労働に対する割増賃金と「月60時間の壁」
中小企業における5割増賃金の定着と実務
月60時間を超える時間外労働に対しては、超過分の5割増以上の割増賃金を支払う義務があります(労基法第37条)。この制度は2023年4月の改正により、規模を問わずすべての企業に適用されています。
残業時間 | 割増率 | 備考 |
月60時間以内 | 25%以上 | 全企業共通 |
月60時間超の部分 | 50%以上 | 2023年4月〜全企業に適用済み |
2026年4月以降は「週44時間特例」の廃止と相まって、意図せず月60時間を超えてしまうリスクが高まると考えられています。特例廃止後に週40時間体制へ移行する際、これまで特例内として処理していた時間が時間外労働に切り替わるケースが出てくるためです。
労働時間管理の再徹底
従業員に月60時間を超える残業が発生する場合、賃金単価が大きく変動します。未払い賃金が発生する前に、自社の労働時間管理が適切に行われているか改めて確認することをおすすめします。
変更点②:小規模企業特例(週44時間特例)の段階的廃止
特例対象業種と廃止スケジュール
商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業などで、常時10人未満の労働者を使用する事業場に認められていた「週44時間特例」が、2026年4月から段階的に廃止されます。これにより、これまで週44時間まで法定内として扱えていた労働時間が、原則通り「週40時間」へと短縮されることになります。
時期 | 内容 |
2026年4月〜 | 週44時間特例の新規導入不可(既存利用は経過措置期間に限り継続可) |
2028年4月〜 | 特例の完全廃止 |
主な対象業種
週44時間特例が適用されてきた主な業種は以下のとおりです(常時使用労働者が10人未満の事業場が対象)。
- 商業(小売業・コンビニ・スーパーなど)
- 映画・演劇業(映画館、劇場、写真撮影業など)
- 保健衛生業(理髪店、美容院、クリーニング店、診療所など)
- 接客娯楽業(旅館・ホテル等を除く。ゲームセンター、カラオケ店など)
自社が対象業種に該当するかどうかを確認したうえで、労働時間管理の切り替え時期を検討してください。
週40時間体制への切り替えにおける課題
廃止に向けて、限られた人数で業務をどう安定させるかが課題です。
シミュレーション:1人あたりの影響
週44時間 → 週40時間への移行で、1人あたり週4時間、月換算で約16時間の「業務キャパシティ不足」が発生します。10人規模の事業場であれば、月160時間分の人員補填が必要になる計算です。 シフト設計の見直しに加え、スポットワーカーを柔軟に活用して正社員の負担を分散させる戦略が有効であるとされています。
変更点③:時間外労働労使協定(36協定)の整備
既存の36協定と変形労働時間制の見直し
1年変形労働時間制を活用する企業では、時間外労働に関わる労使協定(36協定)の記載要件が見直されます。これまで許容されていた記載内容の一部が無効になり、実務対応が必要になる可能性があります。 変形労働時間制の労使協定に「年間720時間かつ月100時間未満」等の上限規制と整合しない記載がある場合、改正後は正規要件を満たさないケースが生じます。
対応ポイント
直近の36協定および変形労働時間制の労使協定を再確認し、必要に応じて社会保険労務士に相談のうえ内容を見直すことをおすすめします。特例廃止後は「週44時間を前提とした記載」が無効になるため、速やかな再整備が必要です。
企業が今すぐ取り組むべき対応
自社の当てはまりを先に確認する
すべての企業が影響を受けるわけではありません。まず以下3点を確認してください。
- 週44時間特例の導入有無:対象業種かつ従業員数10人未満の事業場に該当するか
- 月60時間超残業の発生有無:特例廃止後に60時間超が発生しやすくなる業務構造がないか
- 1年変形労働時間制の導入有無:労使協定の内容が改正後も有効か
パート・スポットワーカーへの影響
スポットワーカーやパート従業員には月60時間超の割増賃金制度が直接適用されないケースが多いものの、小規模企業特例の廃止により「所定内労働時間」の定義が変わる従業員が発生する可能性があります。時給計算の基礎を改めて確認しておくことが大切です。
企業の対応チェックリスト
よくある質問(FAQ)
Q1. 月60時間超の5割増賃金はいつから適用されましたか?
2023年4月より、企業規模を問わずすべての企業に適用されています。2026年改正の直接の内容ではありませんが、週44時間特例の廃止によって超過リスクが高まるため、合わせて確認が必要です。
Q2. パート・アルバイトにも割増賃金の変更が影響しますか?
パート・アルバイトで月60時間を超える時間外労働が発生する場合は対象になりますが、そのケースは多くありません。ただし、小規模企業特例の廃止により所定労働時間の定義が変わるため、該当企業は時給計算の基礎を再確認してください。
Q3. 小規模企業特例が廃止されると、従業員の所定労働時間は自動的に週40時間に変わりますか?
自動的には変わりません。特例を前提に成立した労使協定や就業規則が無効になります。新たに週40時間を前提とした就業規則・労使協定の再整備が必要です。
Q4. 36協定の見直しは必ず必要ですか?
小規模企業特例の対象業種・企業規模に該当する場合、現行の36協定に「週44時間を前提とした記載」があれば見直しが必要です。社会保険労務士に確認することをおすすめします。
Q5. スポットワークを活用することで、改正の影響を緩和できますか?
有効な手段の一つです。正社員の月60時間超残業を抑えつつ、週40時間体制への移行で生じる人員不足(1人あたり月16時間分)をスポットワーカーで補う戦略は合理的です。正確な労働時間の記録と、それに基づいた迅速な給与支払いが、法改正への実務的な対応策としても機能します。
Q6. 2028年4月の廃止まで特例を使い続けることはできますか?
既存の特例活用企業には経過措置期間の適用が予定されていますが、新規対象店舗への導入は2026年4月以降不可です。廃止に向けて、企業全体での労働時間管理体制を早期に整備することをおすすめします。
まとめ
2026年4月の労基法改正において、小規模企業が最も注意すべきは「週44時間特例の廃止」です。これまで法定内として扱えていた労働時間が時間外労働に切り替わることで、訴訟リスクや未払い賃金の発生リスクが高まります。 「改正を知らずに過ごす」ことのリスクが最も大きい改正です。いま自社の当てはまりを確認しておくことで、改正後の労務リスクを未然に防ぐことができます。 正確な労働時間の記録と、それに基づいた迅速な給与支払いの仕組みを整えることが、法改正への最短の対応策になります。スポットワーカーやパートを上手に活用しながら、週40時間体制への移行を計画的に進めていきましょう。
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免責事項:本記事は執筆時点の法令・通達等にもとづく一般的な情報提供を目的としています。法改正の内容・施行時期は変更される場合があります。個別の労務対応に関するご判断は、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。
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©️ Parque.Inc
2026年4月、小規模企業の労務管理に直結する法改正が施行されます。最大の変更点は「週44時間特例(小規模企業特例)」の段階的廃止です。 導入コストが増える一方で、適切な労務管理はワーカーの信頼に直結し、スポットワーク・パートの定着率向上にもつながります。まずは自社が該当するかどうか、一歩ずつ確認していきましょう。